先日、事務所前にタクシーが止まり、ご高齢の男性(以降、Aさん)がいらっしゃいました。
ちょっとお聞きしたいことがありまして… 平成30年の2月△△日から数日以内で、〇〇家の葬儀はこちらでされたでしょうか?
タクシーを待たせたままなので「急いでいるのかな?」と思いましたが、個人情報の関係もあるため故人様との関係をお聞きすると、Aさんは故人様の弟さんとのことでした。
とりあえず〇〇家でデータを調べましたが、当社への葬儀依頼はありませんでした。
Aさんはとても落ち込んでいる様子でしたので、何かお役に立てる事はないかと詳しい内容をお聞きしました。
兄の遺骨の在り処
私(Aさん)は大阪市内で、兄は堺市中区に住んでいました。役所で兄が死亡した事を聞き、葬儀をした葬儀屋さんに聞けば、兄の遺骨の場所がわかると思いまして…
あくまで想像ですが、役所でお兄様の死亡を知ったという事は、全然連絡が取れなくなって相談に行ったんだと思います。
死亡した事は戸籍等を調べればすぐに分かりますが、問題はこの先です。
個人情報保護の壁
「死亡届の提出」と「火葬許可証の発行」は役所で行います。死亡届の届出人には、(一般的に喪主の)氏名・住所・続柄・電話番号などを記入します。火葬許可証にもほぼ同じ内容が記載されます。
お兄さんにはご家族がいらっしゃるので、どなたか(妻や子)の情報が役所には残っているはずです。市職員さんの詳細な対応は分かりませんが、個人情報保護の関係で教えてくれなかったようです。
仮に、故人との関係性を証明したとしても、最近は詳しく教えてもらえないかも知れません。役所としても、「何で勝手に情報を教えたんですか!」と親族とのトラブルに巻き込まれたくないはずです。
ただ、届出人と連絡を取って「弟のAさんが来ていますが、宜しければお電話替わっていただけますか?」と聞いてあげるくらいは問題ないと思うのですが…
役所が葬儀社の情報を把握しているとは限りません
次の手段として、「兄の葬儀をした葬儀社を教えてもらえませんか?」とAさんは尋ねたのかもしれません。
しかし、死亡届には葬儀社名は記入しません。時々、役所窓口で会社名を聞かれることはありますが、データとして残す事はないと思います。
大阪府堺市では
- 死亡届⇒役所
- 火葬場手続き⇒火葬場
と別々です。そして、堺市内の役所では葬儀社名を記入する書類はありません。
※生活保護葬(福祉葬)は除く。
また別の問題として、故人(お兄さん)が堺市中区在住であったとしても、堺市の葬儀社とは限りません。
基本的には近隣の葬儀社へ依頼する可能性が高いと思いますが、大阪市内やその他の地域の葬儀社も考えられます。
火葬場(基本的に故人様の住所地)へ問い合わせ
最後に、火葬場へ相談する方法があります。
役所に葬儀社のデータが残っていなくても、死亡届には「火葬場」の記入欄がありますので利用した火葬場は分かります。もし、火葬場も教えてくれない場合でも諦める必要はありません。
基本的に火葬場は【故人様の住所地にある火葬場】を利用します。堺市の場合は、堺市立斎場(堺市堺区)です。特別な理由がない限り、他の市町村の火葬場を利用することは無いはずです。
火葬場の手続きには、「火葬許可証(故人・届出人の情報が記載)提出と業者名(葬儀社名)」が必要です。堺市・大阪市…どの市町村でも同じです。
そのため、火葬場には「故人・届出人と葬儀社」のデータが必ず残っているはずです。ただ、役所と同様に火葬場がどの範囲まで情報を教えてくれるかはわかりません。
葬儀社が分かったとしても、また個人情報保護の壁
もし、役所や火葬場から葬儀社の情報を教えてもらえたとしても、葬儀社から届出人(喪主)の情報は基本的に教えてもらえないかもしれません。
仮に、当社がAさんのお兄様の葬儀依頼を受けていた場合でも
「あっ、故人様の弟さんなんですね。喪主は△△さんです。電話番号は…」
と簡単に教えることはできません。
最低限、届出人(お兄様の家族)の承諾が必要です。あくまで、お客様の個人情報保護を優先に考えます。
結局、どこに問い合わせても教えてくれない
- 役所で教えてくれない
- 火葬場で教えてくれない
- 葬儀社でも教えてくれない
近年、個人情報の取扱いはどこも厳重です。親族・兄弟・家族であったとしても、簡単には教えてくれません。
しっかり情報を守ってくれている安心感はありますが、「ダメです!親族でも絶対教えられません!」というのも、本当に困っている人(悪用する気なんて全く無い人)にとっては問題ですね。
Aさんがお兄様の遺骨に辿り着くための情報(届出人・火葬場など)を役所は最低限把握しています。行政サービスの1つとして、橋渡し的な役割を担っても良いんじゃないかと思います。
兄弟なのに最期のお別れが出来ない
Aさんは、堺市中区の葬儀社一覧を握りしめ1つ1つ聞いて回るようでした。ですので、お兄様の葬儀を施行した可能性が高い葬儀社と火葬場(堺市立斎場)に相談する方法を伝えました。
葬儀社、火葬場へ直接ご本人が出向いて相談することが望ましいですが、Aさんの様にご高齢の方には負担も大きいと思います。
お兄様とお会いできることを願うばかりですが、兄弟なのに最期のお別れができなかったのは悲しいですね。
もちろん、Aさんとお兄様家族との関係性を無視した言い分なのは重々承知しています。でも、「最期に少しで良いから会いたかった…」という言葉がとても心に残りました。
家族葬で呼ぶ範囲は自由。だけど…
近年、家族葬が本当に増えました。参列者は「故人様のご家族と親族のみ」、いわゆる親戚だけでお葬式を行う場合がほとんどです。
しかし、訃報連絡(お葬式に呼ぶ人の範囲)は基本的にご家族様の自由です。
葬儀社としてアドバイスをする場合もありますが、「ご親族全員に連絡はしましたか?絶対にお呼びした方が良いですよ!」とは言えません。ご家族様の判断にお任せするかたちになります。
故人の希望を実行するのは残された家族
故人様が生前希望したお葬式・相続の内容を、実行するか?しないか?は残されたご家族です。参列者を制限する家族葬や直葬が悪いわけでもありません。良い点もあります。
Aさんにお兄様の訃報連絡が来なかったのにも、何か特別な理由があったのかもしれません。
きっと、Aさんと同じ経験をした方も少なからずいらっしゃると思います。もし自分自身が同じ様な経験をすると考えると、やっぱり悲しいですね。
親戚間でのお付き合い・関係性は色々あると思います。ただ、お葬式に呼ばないとしても、主な親戚には訃報の連絡をされることがおすすめです。
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新家葬祭(しんけそうさい)
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