認知症などの理由で、故人様に成年後見人(以下:後見人)が付いている場合があります。
成年後見制度は判断能力が不十分な人を守るために、平成12年(2000年)にスタートしました。後見人は家庭裁判所が選任し、最近では弁護士・司法書士さん等の専門家が選任されることが多く、令和4年時点では約80%が専門職後見人(親族以外)です。
少し特殊なケースですので、
故人に後見人が付いている場合、お葬式はどうなるんだろう?
と思われるも当然ですが、結論から申し上げますと、故人様に後見人(弁護士・司法書士など)が付いていたとしても、お葬式はご家族・親族が自由に行えます。お葬式の内容・葬儀社も自由に選べます。故人の財産からお葬式費用を出すことも可能です。
また、諸事情があってお葬式に関われない場合は、後見人にお葬式(火葬)を任せることも可能です。
何か分からない事があれば、まずは後見人(または葬儀社)へご相談されることがおすすめです。きっと丁寧に教えていただけると思います。
厳密には、成年後見人は被後見人の判断能力に応じて「後見人・保佐人・補助人」の3種類に分かれますが、このページでは、まとめて「後見人」としてご説明します。
お葬式の内容や葬儀社は、ご家族・親族様が自由に選べます
後見人の業務は、被後見人が死亡した時点で終了します。最後の業務は、病院などへの未払金などを清算して、残った財産を相続人へ引き継ぎます。そのため、後見人がお葬式に関わることは基本的にありません。
あくまで、被後見人(故人)にご家族・親族がいる場合は【お葬式はご家族・親族が行う】が基本ですので、お葬式の内容・葬儀社も自由に選ぶことが可能です。
故人の財産(預貯金)からお葬式費用を支払いたい場合は、後見人に相談しましょう
被後見人(故人)の財産からお葬式費用を支払うことは可能です。後見人は故人の財産を管理・把握していますので、まずは後見人とご相談ください。
故人が生活保護を受けていた場合
もし、故人(被後見人)が生活保護を受けていた場合、故人の財産は非常に少ないはずですので、お葬式は下記2つのどちらかになります。
- ご家族・親族がお葬式費用を負担
ご家族・親族がお葬式費用を負担する場合、どのようなお葬式を行うかは自由です。 - 生活保護葬(福祉葬)を申請(※)
生活保護葬は「火葬のみ」ですが費用は無料です。まず役所へ申請し、受理されるか?は役所(福祉担当)が判断します。申請はスタッフがサポートいたします。
(※)生活保護葬は「喪主が生活保護受給者」の場合に適用されます。
【参考】後見人にお葬式(火葬)を任せることも可能です
諸事情で後見人(弁護士・司法書士さん等)が、ご家族・親族の代理で喪主になる(お葬式を行う)場合も時々あります。
例えば、
被後見人(故人)が大阪在住で、他のご家族・親族が高齢・病気等の理由で大阪まで行けない。
など、何か理由があってお葬式(火葬)に関わることができない場合です。
本来であれば、後見人の業務は被後見人が死亡した時点で終了ですが、ご遺体を放置することはできません。そのため、諸事情がある場合は後見人がご家族の代理で喪主となりお葬式(火葬)を行うこともあります。
後見人が喪主になるお葬式は、基本的に「直葬(火葬のみ)」
後見人が喪主になるお葬式は、基本的に参列者は「後見人1人のみ(+介護施設のスタッフなど)」が多いため、下記の様なシンプルなお葬式(総額20~30万円位)が多いです。
- 直葬(火葬のみ)
- 直葬(火葬のみ)+湯灌(ゆかん)
- 直葬(火葬のみ)+火葬炉前での僧侶の読経
ご家族・親族が後見人の場合
現在では弁護士・司法書士さん等の専門職後見人が多いですが、「被後見人(故人)のご家族・親族が後見人」の場合もあります。この場合は、「被後見人(故人)の財産がいくら残り、故人の財産からお葬式費用を出せるかどうか?」の判断も可能だと思います。
ただし、故人の財産は【相続人全員の共有財産】ですので、後見人1人でお葬式の内容・金額を決めるのではなく、ご家族全員で相談して決めるのがおすすめです。
また、後でトラブルにならないように、葬儀社の領収書・請求書などは大切に保管して、故人の財産の使い道を説明できるようにしておきましょう。
- 被後見人(故人):父親
- 後見人:長男
- その他の家族:次男・長女
上記例で、父親が死亡した場合、相続人は「長男・次男・長女」の3人です。つまり、父親が残した財産は3人の共有財産になります。
まとめ
故人様に成年後見人(弁護士・司法書士など)が付いていたとしても、「お葬式は故人のご家族・親族が行う」が基本です。葬儀社・お葬式の内容を自由に決めることができます。もし、故人の財産からお葬式費用を支払いをお考えの場合は、後見人にご相談ください。
また、諸事情でどうしてもお葬式に関われない場合は、後見人にお葬式(火葬)を依頼することも可能だと思います。
当社でも後見人(弁護士・司法書士など)の方と相談をして、予算内でできるかぎりのお見送りを考えることもありますし、火葬場入場の前に入居していた施設へ立ち寄って、他の入居者・施設スタッフさんとのお別れの時間を取ることも多いです。
きっと、このページをご覧の方の多くは「被後見人のご家族・親族」だと思います。もし、お葬式や相続などについて不安やご希望などがあれば、後見人または葬儀社へご相談されるのをおすすめします。
今後、認知症などで判断能力が衰える人が増加する(2025年には約700万人/高齢者5人に1人)と予測されています。
将来的には、「後見人が付いている」が当たりになっているのかも知れません。現状では課題や問題点もあるようですが、被後見人本人やご家族様にとって「安心で助かる制度」になれば良いですね。
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