お墓や納骨堂をお持ちではない方は、故人様の遺骨を「どこに納骨(埋葬)しよう?お墓?納骨堂?」とお悩みだと思います。
お墓や納骨堂を選ぶ際には立地や交通利便性、費用も大切ですが、【将来の承継者 = 誰がお墓や納骨堂の管理を継ぐのか?】を考えておくことは重要です。
そして、承継者(お墓の管理者)については、「既にお墓や納骨堂をお持ちの方」も将来的に悩む可能性があります。
- 今からお墓を建てても承継者がいない
- 子が娘だけなので承継者が途絶える
- 将来的に承継者がいなくなる可能性がある
上記のような、承継者の問題を解決する方法(サービス)の1つが「永代供養」です。
永代供養を簡単にご説明すると、
【承継者が誰もいない(将来いなくなった)場合、霊園・墓地管理者(運営者)が「永代」に供養してくれる】
というサービスです。近年、今あるお墓を「墓じまい」をして、永代供養付きのお墓や納骨堂へ切り替える方もいます。
ただ、少し注意が必要な点は、【永代は「永久・永遠」ではありません】ということです。
「永代供養のお墓だから、ずっと個別のお墓で使用可能(供養してくれる)」は、基本的に間違いです。
「永代」の文字から、「永遠に続く、限りなく続く」と想像されると思いますが、基本的には【一定期間】とお考えください。ちなみに、辞書では「永年=長い年月」という意味です。
その一定期間は13年・17年・33年と各霊園墓地によって異なりますし、期間が選択可能な場合もあります。基本的に契約期間が終了すると、ご遺骨は「合祀墓(複数の遺骨を一緒に埋葬)」へ移されます。
お墓・納骨堂選びは想像より大変だと思いますが、ご家族でゆっくりと検討しましょう。
お墓や納骨堂は年々新しいサービスが誕生しています。そのため、このページではあくまで一般的な情報をお伝えします。
「永代供養って大体そんな内容なんだ」と基本的な部分を抑えていただければ幸いです。
まず最初に
インターネットで「永代供養のお墓・納骨堂」を調べると、
「永代供養墓・永代供養樹木葬・永代供養納骨堂・永代供養料を含む・永代供養付きで管理費なし」
いろいろな言葉が混ざって、よく分からない場合が多いと思います。表現は様々ですが、シンプルに「永代供養というサービスが付いた◯◯」と考えると整理がしやすいと思います。
- 永代供養のお墓
- 永代供養の納骨堂
- 永代供養の樹木葬(樹木葬墓)
- 永代供養の合祀墓(合葬墓)
※合祀墓(合葬墓)とは、血縁関係のない方を一緒に埋葬するお墓です。墓石の代わりに石碑(モニュメント)を建てる場合が多いです。
永代供養のお墓・納骨堂は、大きく分類して2種類
昔も今も、ご遺骨の納骨先は主に「お墓または納骨堂」です。つまり、永代供養が付くのは、主に「永代供養のお墓・納骨堂」です。樹木葬については後でご説明しますが、お墓とほぼ同じです。
「永代供養のお墓・納骨堂」の内容を大きく分類すると、以下の2種類です。
- 一定期間は「個別」に納骨
契約期間終了後に合祀墓へ移動 - 最初から「合祀墓」へ納骨
一度納骨すると取り出せない
ただし、この基本以外の各霊園オリジナルの永代供養サービスもあります。
納骨の時期は自由です。焦って契約をすることは避けましょう。ゆっくりとご夫婦・家族でご相談ください。
必ず総額費用(または追加費用の有無)を確認しましょう
次に「費用」についてですが、霊園によって異なります。
- 墓石代(永代供養料を含む)
- 墓石代(永代供養を希望の場合は別途費用)
永代供養料を含む・含まない… 霊園によって異なりますので、【総額費用】と【追加費用の有無】の確認が重要です。
最初に一定額を支払えば、後で追加費用は必要ないと思っていたら、実は毎年1万円の管理費が必要なケースもあります。ホームページや広告では理解が難しい場合も多いので、窓口への問い合わせがおすすめです。
また、お墓や納骨堂を検討をする際は、「現地確認」が絶対におすすめです。実際の雰囲気、周辺環境や駐車場、将来的に車に乗らなくなる可能性も考えて公共交通機関からのアクセスや霊園の巡回バスの有無も確認しましょう。
先日、ある霊園の広告を拝見しましたが、「個別?合祀?期間は?… 結局、総額はいくら??」と内容が複雑であまり理解できませんでした。他のスタッフも同じ結果でした。私たちの読解力不足かもしれませんが、複雑なケースが多いと思います。
永代供養の「内容」を必ずチェックしましょう
基本的に、永代供養は「承継者(お墓の管理者)が誰もいなくなっても、霊園管理者が供養をしてくれるサービス」です。
ただ、「永代供養」が付いているから、後は全部お任せで安心というわけではありません。
どういう事かというと、永代供養付きのお墓・納骨堂の多くは、以下が基本です。
- 一定期間は、個別で納骨
- 契約期間(13・17・33年など)が終了
- 遺骨が合祀墓へ移される
ほとんどの場合、契約終了後に合祀墓(他者の遺骨と一緒に納骨)へ遺骨が移されることになると思います。
ただ、契約内容によっては契約終了時に遺骨の供養方法について「新たに選択」を迫られるかもしれません。霊園によっては、契約延長も可能ですが、「年間管理費」など追加費用が発生する場合もあります。
※後でご説明しますが、最初に一定額を支払えば、追加費用が一切必要がない永代供養サービスもあります。ただ、その場合は基本的に「最初から合祀墓へ納骨」となります。
新しく永代供養のお墓や納骨堂を検討される方。また、親御さんが既に永代供養タイプのお墓や納骨堂を契約されている方。どちらの場合でも、「永代供養の契約内容」をチェックしましょう。
たとえ親御さんが
私たちが入るお墓は「永代供養」だから、あなた達が追加で費用を払う必要はないから安心してね。
と言ったとしても、必ずしも安心はできません。
- 永代供養の期間(契約期間)
- 年間管理費の有無
- 契約期間終了後の遺骨の供養方法
- 契約期間終了後に必要な費用
などを必ず確認しましょう。
永代供養の「契約期間」と「契約終了後のご遺骨の供養方法」
先ほどご説明したように、永代供養のお墓・納骨堂は基本的に契約期間が定められています。
契約期間は基本的に【13・17・33年の契約】が多いです。これは、節目とされる年忌法要(13回忌・17回忌・33回忌)に合わせてだと思います。
そして、契約期間の終了後、ご遺骨の供養方法も霊園によって異なります。
- 遺骨が合祀墓などに移される?
- 遺骨を引き取れる?
- 契約を延長できる?
など、どの様な選択肢があるか?を細かく確認しましょう。
契約期間の終了前には必ず連絡があると思いますが、自動的に合祀墓に移される可能性も0ではありません。
合祀墓へ移されると、遺骨を取り出すことが不可能になりますので、ご自身から先に余裕をもって連絡をしましょう。
【参考】大阪府堺市の公営納骨堂
参考例に、当社の所在地である大阪府堺市が運営する「堺市立霊堂(個別タイプの納骨堂)」をご紹介します。一般的な永代供養の納骨堂とは少し異なりますが、ご参考に。
- 新規祭壇(8年):140,000円
- 新規祭壇(30年):381,000円
- 年間管理費:12,000円
公営ですので、運営者(堺市)が破綻リスクは限りなく低いため非常に安心です。
初回の支払いのみ。追加費用が必要ない永代供養(ただし、最初から合祀墓へ納骨)
多くの方が想像している「永代供養のお墓・納骨堂」のイメージは、「契約時に一定の金額を支払えば、後は何も追加費用が必要ない」だと思います。
その様な永代供養は基本的に「最初から合祀墓へ納骨(他者の遺骨と一緒に納骨)」になります。費用も「一般的な永代供養のお墓」に比べると低価格(数万円~十数万円程度)です。
ただ注意点として、最初から合祀墓へ納骨しますので、後で取り出すことはできません。デメリットとまでは言えませんが、慎重に考える必要があります。
最近の樹木葬は「お墓」とほとんど同じ
近年、「樹木葬」の広告がとても増えました。樹木葬の誕生当初のコンセプトは、
樹木の下に遺骨を埋葬して、願い年月をかけて自然に還る
というもので、樹木をシンボルとする「合祀墓(血縁関係のない方が一緒に入るお墓)」が基本でした。自然の中にあるオシャレな合祀墓という感じです。
しかし、最近の新しい樹木葬には「個別に納骨するタイプ」もあります。内容は従来のお墓とほぼ同じです。オリーブなどの樹木の周りに個別の墓石や石碑プレートが設置され、その下に納骨します。墓地の真ん中に樹木を植えて、樹木葬と宣伝している霊園もあります。
「樹木葬」の言葉で宣伝(広告)されている霊園が多いですが、イメージとしては「樹木葬“墓”」が適した表現かもしれません。
価格も簡単に調べましたが、一般的なお墓と「同じ価格帯~少し高額」が多いかもしれません。
- 墓石(石碑)代:80万円~100万円以上
- 永代供養料:20~30万円
- 管理料:10~20万円(30~50年分一括)
※いくつかのホームページを拝見した概算価格
樹木葬を提供している最新の霊園は、自然が豊かで明るく、デザインも現代的です。墓石が狭い間隔で並んでいる従来の霊園より開放感があります。
また、通路が広く、バリアフリーで休憩場所も完備されている霊園も多いです。費用は少し高額かもしれませんが、きっと納得のいく霊園も多いと思います。
納骨の時期は自由ですので、慌てずにゆっくり検討しましょう
故人様の遺骨をいつ納骨をするか?は自由です。「いつまでに納骨」というルールはありません。何年もご自宅に遺骨を置かれている方も多いです。
既にお墓・納骨堂をお持ちの方は、四十九日法要と同日に納骨する場合が多いですが、まだ契約をされていない方は、無理に契約やお墓を建てることは絶対に避けましょう。
お葬式終了から四十九日法要までは想像以上に早いです。加えて、お葬式終了後は事務手続きが沢山あります。その短期間で、慌てて契約をすると後になって後悔する可能性が高いです。落ち着いた状況になってから、ゆっくりとご夫婦・家族で話し合って決めましょう。
まとめ
霊園墓地(お墓や納骨堂)の運営は、市町村・宗教法人・公益法人などに限られます。
市町村が運営する公営霊園は、安全性や永続性、費用面で人気が高く、あまり空きがでないケースが多いです。その他になると、民営霊園(宗教法人と墓石店の共同開発など)で、最新施設や利便性が優れている分、費用が高い傾向にあります。
公営・民営、お墓・納骨堂、どれが良いという訳ではなく、ご自身(家族)の事情や状況に合っていることが大切です。そして、将来の承継者(管理者)も考慮して選択しましょう。
近年、新しいお墓や納骨堂が次々と誕生しています。また、このページでは除きましたが、海洋散骨や遺骨ダイヤモンドなどもあります。ご遺骨の供養方法は自由ですし、価値観も人によって様々です。
今回は、「永代供養」の基本的な内容をご説明しましたが、今後また新しいサービスが誕生するかもしれません。供養の方法を「探す&選ぶ」も大変ですが、多様な価値観に対応できるように選択肢が増えることは良い事だと思います。
いずれにしても、大切な故人様の遺骨に関することですので、慌てずにゆっくりとご家族でご検討されることをおすすめします。