事務所の近くで、ある男性(Aさん)に声をかけられました。その男性は、数年前に当社にお葬式をご依頼くださった方です。
「いい所で会ったわ!ちょっと話を聞いて欲しいんやけど…」
と少し神妙な面持ち表情でしたので、事務所でお話を伺うことにしました。
相談内容は、【Aさんのご親戚が、ある葬儀社に家族葬を依頼して総額費用が大幅アップした】という内容です。実際、その葬儀社に依頼したのはAさんではないため、詳細は不明です。
実際、お葬式費用の【総額】は「葬儀社の基本プラン+ご家族様のご希望(追加するオプション)」で決まります。そのため、基本プランの価格だけで「安い」と判断するのは避けましょう。
今回は、「葬儀費用が大きく上がった原因を2人で考える」というお話です。少し長くなりますが、よろしければご覧ください。
お葬式費用がオプションの追加・追加で大幅アップ?
Aさん(以下A):ある葬儀社のチラシで、50万円台で家族葬って書いてたから頼んだら、結局は全部で200万円超えたらしくて。そんなに(金額が)上がるものかな?
私:かなり高額ですね。実際、追加料金はあります。多くの葬儀社では祭壇・お棺などが含まれた基本プラン(家族葬プラン50万円など)があって、追加費用として人数で変動する「お料理や返礼品」が一般的です。
あとは、式場使用料や火葬料金などですね。
基本的なオプション(追加費用):お料理と返礼品
私:お料理の注文は?ご親戚の人数は?
A:お通夜も告別式も料理はあったよ。親戚は40人くらい。
私:単純計算しますね。お通夜:にぎり寿司@6,000円(5人前)を8桶=4万円。告別式:会席膳@4,000円を40人分=16万円。合計で約20万円。追加や飲料費を考えても、25万円以内だと思います。
一般の参列者さんは来られました?
A:50人くらい来てたかなぁ。
私:返礼品@540円を50人にお渡しするとして27,000円。お通夜・告別式に各50人で54,000円。それに会葬礼状を含めても約6万円ですね。ご家族・親戚は無しとしますね。
- お料理:約25万円
- 返礼品+会葬礼状:約6万円
親戚の人数が多い理由で「葬儀式場と祭壇」が変更
A:そうそう、親戚の人数が多い理由で葬儀場も大きいのに変更になったらしい。でも、『祭壇はチラシと同じので』って頼んだら、「葬儀場が変われば祭壇も変わる」って。結構大きな祭壇やったよ。
私:祭壇の追加費用と、式場使用料は分かりますか?
A:いや、さすがに聞いてないな。あと、警備員が必要とか高級な棺や何やら色々勧められたらしいよ。
- 祭壇の追加費用:不明
- 式場使用料:不明
- 警備員など追加費用:不明
やっぱり「葬儀式場と祭壇のランクアップ」の影響が大きい?
私:チラシの家族葬プランが50万円台…。仮に60万円として税込で66万円。それに加えて、お料理が約25万円、返礼品が約6万円で合計97万円。単純計算ですが、約100万円で収まりますね。
A:まあ、感覚的にそれくらいは必要やと思うけど…でも、200万は高いな。
私:お料理や返礼品の価格は、どの葬儀社さんでも驚くような差は無いと思います。別途、警備員などの費用を追加しても200万円には届かないかなと…
他にお棺・骨壺のランクアップや供花の追加が考えられますが、何十万円も高くなる項目ではないので、やっぱり【式場変更と祭壇のランクアップ】が高額だったと思います。
A:たぶん、それかな。なかなか豪華やったから。
私:あっ!【お坊さんの紹介】を葬儀社に依頼しましたか?
A:いや、どうかな…
私:葬儀社によっては、お坊さんの紹介で30万円以上と聞いたことがあります。でも、200万円には届かないですね。
A:まぁ、色々と追加があったんかな。葬儀自体はいい葬儀で親戚は満足してるし。長時間ありがとう、勉強になったわ。
葬儀費用が増加する理由はいろいろ
Aさんとのお話で、広告より葬儀費用が増加した要因を簡単にまとめると以下のとおりです。
- 親戚が多いため、大きな葬儀式場に変更
- 葬儀式場の大きさに比例して、祭壇も豪華に変更
- 広告のプランには料理・返礼品は含まれていない
- 警備員などのオプションの追加
- 式場使用料や火葬料金は別途費用
- 色々な商品でランクアップがあった?
- 葬儀社の「お坊さん紹介」を利用した?
詳細な見積書・請求書を拝見していませんので、どんなオプションを追加(強制的に追加?)して、費用が高くなったのかは不明です。
しかし、50万円台の家族葬プランが、オプションの追加だけで200万円を超えるのは考えにくいです。きっと、主な原因は【葬儀式場の変更+祭壇ランクアップ】で間違いないと思いますが、十分な説明があったのか?が問題です。
一般的なオプション(別途費用)について
葬儀社によってお葬式プランは様々ですが、どの葬儀社でも「直葬(火葬式)・家族葬・1日葬」などの基本プランが設定されているはずです。
ただし、基本プランとは別に下記の4項目はオプション(別途費用)が一般的です。
その理由は、ご家族様の人数やお葬式を行う場所、利用する火葬場によって費用が異なるからです。また、お料理や返礼品が不要な方もいらっしゃいます。
※ここでは、御布施(お坊さんへのお礼)は除きます。
- お料理(通夜・告別式)
- 返礼品(参列者へお渡しする品)
- 式場使用料(自宅の場合は無料)
- 火葬料金(市町村により異なる)
お葬式は喪主1人に任せるではなく、ご家族・親族の協力が大切です
ここまでご説明したように、お葬式費用の総額は「葬儀社の基本プラン+お客様ごとのオプション」で決まります。そのため、追加費用の確認はとても重要です。葬儀社との打合せ時点で、必ず「総額費用」を確認しましょう。
ただ、大切なご家族を亡くされた直後では、冷静に対応できる方は少ないと思います。落ち着いているように見えても、多少どこか冷静さを欠いている場合もありますので、葬儀社とお葬式内容を決める時は、喪主様1人に任せるのではなく、ご家族・親族みなさんで協力し合うことが大切です。
もし、お時間に猶予がある場合は、事前相談を利用し、詳細を確認することが最も安心だと思います。