遺言書が存在しない場合は、原則として相続人全員で「誰が・何を・どれだけ相続するか?」を話し合って決めます。これを遺産分割協議(協議分割)といいます。
法定相続分という「各相続人が相続する割合の目安」はありますが、土地や建物は自由に分割できませんので、基本的に話し合いが必要です。
分割協議は、必ずしも全員同席の必要はなく、相続人の1人が分割案を持って各相続人へ伺い承諾を得る方法でも構いません。全員が納得すれば協議は終了です。
また、遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従っての相続(指定分割)になりますが、相続人全員が同意すれば、異なる内容で相続が可能です。
分割協議なんてするの?何か難しそう…と思われるかも知れませんが、「私たちは要らないからお母さんが全部相続したら良いよ」と全員が納得するのも分割協議です。
遺産分割協議のタイミング
遺産分割協議のタイミングは自由です。基本的に「相続人を確定 ⇒ 相続財産を把握 ⇒ 相続をする(放棄しない)」と決定した後です。
スムーズに進めば、四十九日法要の日に行う方もいるようです。相続人や財産調査が複雑になりそうな場合は、お葬式終了後すぐに取りかかりましょう。
相続税の支払期限が10か月以内なので、なるべく早いほうがおすすめです。
遺産分割協議は相続人全員で行う必要があります。相続人の中に、未成年者・認知症などで判断能力が不十分な方がいる場合でも、相続権を持つ以上は参加が必要です。
ただし、未成年者・認知症の方は代理人として「親権者または特別代理人」・「成年後見人など」が代理人として参加します。
相続人の中に行方不明者がいる場合
もし、相続人の中に「行方不明者・連絡が取れない人」がいる場合は、専門家に住所を調査してもらい訪問するか、家庭裁判所へ「不在者財産管理人」の選任を申し立てます。
分割方法
被相続人(故人)の財産は、相続人全員の共有財産です。それを相続人で分けますが、不動産(自宅や土地など)や車が含まれる場合、相続人の数できれいに分けることができません。そのため、相続財産の基本的な分け方は以下の様になります。
- 現物分割
自宅は◯◯、預貯金は◯◯、車は◯◯というように、遺産そのものを現物のまま分割する方法です。 - 代償分割
自宅や建物を◯◯が相続する代わりに、他の相続人へ代償金(お金)を支払う方法です。 - 換価分割
相続財産を売却し、その代金を相続人できれいに分割する方法です。 - 共有分割
相続財産(土地や建物など)を相続人で共有する方法です。
相続放棄をする場合は3か月以内
もし、故人の財産を相続しない(したくない)場合は、家庭裁判所で手続きが必要です。期限は「自身が相続人に該当すると知った時から3か月以内」です。
相続放棄をする場合は、他の親族にも影響が出る可能性もありますので、専門家(弁護士・司法書士)へのご相談がおすすめです。
遺産分割協議書の作成
遺産分割協議書は、分割協議の記録となる重要な書類です。後々でトラブルを避けるための書類です。
特に決まった様式はありませんが、基本的に「タイトル:遺産分割協議書、被相続人の氏名、本籍地、最終住所地、生年月日・◯◯は□□が相続するという内容・日付・相続人全員の自筆署名・実印」などが必要です。
また、金融機関や法務局(不動産の名義変更)などでの相続手続きでは、協議書の提出を求められる場合がありますので、詳しくは窓口へお問い合わせください。親切に教えてくれるはずです。
トラブル防止
遺産分割協議書の作成は義務ではありませんので、作成をしなくても罰則はありません。しかし、相続人間での契約書と同じ効果がありますので、後々のトラブルを防止できます。
もし、相続人の誰かが協議内容を守らなかったり、訴訟などになった場合に遺産分割協議書は有力な証拠となります。
そのため、遺産分割協議書を作成する場合は、司法書士など専門家に依頼して公正証書での作成がおすすめです。
親族間でトラブルが起こるケースは非常に少ないですが、お困りの場合は司法書士をご紹介いたします。
お問い合わせ
新家葬祭(しんけそうさい)
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