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「死んだらあげる」の口約束は有効?:死因贈与

ブログ死んだらあげる

「私が死んだら、◯◯をあげるね」という会話は、冗談を含めてよく聞きます。では、真面目に「口約束」をした場合、有効になるのでしょうか?

例えば、姉Aさんと妹Bさんがいました。姉は趣味で野菜を育てていた畑(土地)を持っていました。姉が「私が亡くなったら、Bに土地をあげるね」と言い残し亡くなりました。

この場合、妹Bは姉の言葉を「遺言」として、土地がもらえるのでしょうか?

死亡原因の贈与は2種類

死亡を原因として効力が発生する贈与には、【遺贈】と【死因贈与】の2種類があります。

両方とも、特定の人に財産を与えることが可能です。大きな違いは「受贈者(財産をもらう人)の承諾があるか?ないか?」です。

  • 遺贈(遺言書)は、受贈者(もらう人)の承諾なし。
  • 死因贈与は、受贈者(もらう人)の承諾あり。

遺贈

1つ目の【遺贈】は、一般的に周知されている「遺言書を作成し、特定の人に財産をあげる」ことです。法的にも有効です。贈与者(あげる人)の一方的な意思表示で可能です。

そのため、受贈者(もらう人)は何がもらえるのか分かりません。仮に借金などが含まれている場合は、相続の拒否も可能です。

死因贈与

そして、2つ目の【死因贈与】が、今回のケースに当たります。ただ、姉Aが真面目に言ったとしても、法的効力のある遺言には当たりません。遺言は【書面で残す】が原則だからです。

では、「口約束」は全く無意味かと言えば必ずしもそうではないようです。

死因贈与では、贈与者(あげる人)が「私が亡くなったらあげるね」と贈与の意思を示し、受贈者(もらう人)が「うん。わかった!」と双方が合意すれば、基本的に契約が成立します。

ただし、「◯◯が私に土地をくれるって言ってた」と主張しただけでは、死因贈与は認められにくいです。死因贈与が認められるには2つの条件が必要です。

死因贈与が認められる条件1

1つ目は「死因贈与契約書」または「証人の有無」です。

贈与者(あげる人)と受贈者(もらう人)との間で契約書を作成し、お互いの署名捺印があれば有効な証拠と考えられます。

また、姉Aさんが亡くなる前に「妹Bに私の土地をあげる」と言った事実を、Aさん・Bさん以外に見聞きした証人がいれば証拠として有効になる可能性もあります。

死因贈与が認められる条件2

2つ目は「相続人全員の承諾」です。

相続人が複数いた場合、死因贈与契約について意見が分かれる可能性もあります。誰か1人でも反対者がいれば、事実上死因贈与契約を成立させることが難しくなります。相続人全員が納得をすれば、死因贈与が成立します。

基本的に「撤回」も可能です

遺言書が自由に何度も書き直しができるように、死因贈与契約でも基本的に贈与側(あげる人)は、いつでも撤回できるとされています。相手側に撤回の意思をきちんと伝えれば、契約を無かったものとできます。

ただし、遺言書とは異なり死因贈与契約は「双方の合意」で成立していますので、きちんと伝えなければ後々トラブルになるケースもありますので注意が必要です。

撤回できない「負担付き死因贈与契約」

死因贈与でも撤回が認められないケースもあります。それが「負担付き死因贈与」です。

「介護してくれたら、財産をあげる」など、受贈者に一定の条件(義務)を負担させる契約です。実際に、受贈者が条件を実行していた場合は、特別な理由がない限り撤回が認められない可能性もあります。過去には、裁判まで起こるケースもあるようですので注意が必要です。

例えば、介護が必要な父Cさんが長男Dさんに「同居して介護してくれたら、自宅をあげるよ」と言って、長男Dさんが「分かった。それなら介護するよ」と負担付き死因贈与契約を結んだとします。

しかし、長年介護を続けたにも関わらず、親子喧嘩を理由に父Cが「死因贈与は破棄する!お前には自宅をわたさない!!」と破棄が認められるのであれば、約束どおり介護をした長男Dさんがかわいそうです。

そのため、特別な理由がない限りは、受贈者の権利保全のため自由に破棄できないとされています。

遺贈(遺言書)と死因贈与は、どちらが優先される?

仮に、「遺贈(遺言書)」と「死因贈与の契約書」がどちらも見つかった場合、最新の日付の方(最後に作成された方)が優先されます。

遺言書には日付記載が必須ですので作成日が明確です。しかし、死因贈与契約書は日付記載が必須ではないため、日付がない可能性もあります。この場合は、遺言書が優先されます。

遺贈や死因贈与をお考えの方

何か事情や理由があって、ご自身の財産を特定の人へあげたい場合は、専門家(弁護士・司法書士など)とじっくり相談されることがおすすめです。

どのような方法があって、どれが最適なのか?費用はどのくらい必要なのか?

まずは専門家に相談してからじっくりとお考え下さい。

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