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故人にピッタリの言葉「日々是好日」

故人にぴったりの言葉「日々是好日」

ご自身のお葬式について、1年程前に事前相談に来られた方が先日お亡くなりになりました。

お棺には、洋服・食べ物と一緒に「日々是好日」と書かれた掛軸を喪主様(故人の奥様)がお入れになりました。故人様のお気に入りの言葉だったそうです。

日々是好日(にちにちこれこうにち)

日々是好日は、中国の禅僧・雲門文偃(うんもんぶんえん)の言葉とされています。「にちにちこれこうにち」が正式な読み方のようですが、その他「にちにちこれこうじつ」・「ひびこれこうにち」などの例もあるようです。お茶室や寺院などで目にされた方も多いと思います。

一般的には「ひびこれこうじつ」の読み方が馴染みがあるかもしれませんね。

夫にぴったりの言葉

お葬式終了後にご自宅にも伺った際にも、故人様直筆の立派な「日々是好日」の掛軸が飾られていました。

故人様について、奥様は

「まぁ~、自分の好きなように生きた人でしたね。わがままで、自由で、やりたい放題。家族が困ったことも沢山あったけど… 最高に良い人でした。

見てあの(遺影)写真、『へへ、先に逝くね!』って顔してるでしょ(笑)。あの人らしいイイ写真です。

日々是好日… 家族・仕事・好きな事に全力だった夫にぴったりの言葉です。」

お別れの際には、ご家族・友人みなさん涙してお花を手向けていました。自由に生きて、最後には愛するご家族・友人にあたたかく見送られる。とても素敵なお葬式でした。

日々の優劣・損得・是非にとらわれない

「日々是好日」は文字通り、「毎日が良い日」という意味です。ただ、「良い日が続けば幸せな事」という単純な意味ではないようです。

つい私たちは「良い日・悪い日」の判断基準として、【晴れた・雨が降った、物を貰った・失くした、お金が儲かった・損をした…】などで判断しますが、それは優劣・損得・是非にとらわれた考え方です。

しかし、「日々是好日」はそんな考えにとらわれず、「その日をありのままに生きる」という悟りの境地の言葉です。

日々の良し悪しは、個人の考え方(受け取り方)次第ということですね。

1日1日を大切に積み重ねる

生きていれば、嬉しい事や悲しい事は必ず起こります。ただ、目の前の現実ばかりに悩むのではなく、【この1日は二度とない1日で、今この時、自分を大切に1日1日を積み重ねることができれば、まさに「日々是好日=素晴らしい人生」になる】という意味のようです。

禅では、過ぎた出来事にいつまでもこだわらず、まだ来ていない明日に期待せず、目前の現実がどんなものであろうと、ただ今、この一瞬を精一杯に生きることが大切という教えだそうです。

「良い日・悪い日を比べるのをやめる」

なかなか実践することは難しいですね。

自分を傷つけるのは自分

少し話がそれますが、以前に読んだ本にあった「自分を傷つけるのは自分」という言葉を思い出しました。

他人が自分の心を傷つけることは絶対にない。本当は、他人の言動をどう捉えたかによって、自分で自分の心を傷つけているだけ。

たとえ悪口でも気にしなければ傷つかない。問題は、物事の受け止め方次第で、自分の心に他人は入れないことを自覚することが大事。

人の心は、物事の受け止め方次第でプラスにもマイナスにもなる。「日々是好日」と同じですね。

小さな事は気にしない、何事もプラスに受け止める…心の強さも必要かもしれませんが、確かに受け止め方次第で、その人の気持ちは大きく変わりますね。

最後に、「日々是好日」の考えを「大切な人を失った方」はどう受け止めればいいんだろう?… もし機会があれば、禅宗のお坊さんへ尋ねてみようと思います。