成年後見人(以下、後見人)は、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人(被後見人)が不利益を被らないように、生活・医療・介護・福祉などに関して保護・支援し、財産も管理します。家庭裁判所が後見人を選任します。
補足:法定後見は、保護対象者の判断能力に応じて「後見・保佐・補助」の3つに分類されます。
このページでは「保護する人:後見人・保佐人・補助人」と「保護される人:被後見人・被保佐人・被補助人」をまとめて「後見人」と「被後見人」とします。
令和5年(2023年)時点で、専門職後見人(弁護士・司法書士さん等)は約80%ですが、故人(被後見人)のご家族(長男・長女など)が後見人をされている方からお葬式のご依頼もあります。
もし、ご自身(または他のご家族・親族)が後見人である場合、
- 故人(被後見人)のお葬式はどうなる?
- 後見人は何か特別な手続きが必要?
- 後見人がお葬式の義務や責任を負う?
など、色々と疑問・不安に思われると思います。
今回は「故人のご家族・親族が後見人の場合のお葬式」について簡単にご説明します。数少ないケースだと思いますが、該当する人の不安が少しでも解消できれば幸いです。
加えて、「ご家族以外(弁護士・司法書士など)が後見人の場合」も簡単にご説明していますので、よろしければご覧ください。
後見人の業務は被後見人が死亡した時点で終了、お葬式はご家族・親族の自由です
先に結論からお伝えしますが、後見人の業務は被後見人が死亡した時点で終了しますので、故人(被後見人)にご家族・親族がいる場合、お葬式は残されたご家族・親族で話し合って自由に決めることができます。お葬式にまで後見人が義務や責任を負うわけではありません。
「故人(被後見人)にご家族・親族がいれば、ご家族・親族がお葬式を行う」が基本です。もし、故人に専門職後見人(弁護士・司法書士さん等)が付いていた場合でも同じです。
ご家族・親族が後見人であった場合
故人(被後見人)のご家族・親族の誰かが後見人であった場合、被後見人が死亡した時点で後見人の立場が終了し、普通の家族・親族の立場に戻ります。
※「普通の家族の立場に戻る」という表現は適切ではないかもしれませんが、後見人という特別な立場ではなくなるとお考え下さい。
つまり、故人(被後見人)のご家族・親族の誰かが後見人であったとしても、何か特別なお葬式になるわけではありません。また、後見人が「必ず喪主になる・葬儀費用を支払う」等のルールもありません。一般的なお葬式と同じく、ご家族・親族で話し合って、葬儀社の手配・お葬式を自由に行います。
後見人が必要になった経緯や状況はご家族様ごとに異なりますが、これまで後見人としての負担や頑張ってくれたことへの感謝の気持ちは大切です。
また、故人(被後見人)との関りは他のご家族・親族より深いはずですし、故人の遺志や希望も聞いているかもしれませんので、後見人の意見は尊重するべきかもしれません。
故人に専門職後見人(弁護士・司法書士など)が付いていた場合
先ほどもご説明したように、後見人の業務は被後見人が死亡した時点で終了しますので、故人に専門職後見人(弁護士・司法書士など)が付いていた場合、その後見人はお葬式には直接関わりません。あくまで「お葬式は故人(被後見人)のご家族・親族が行う」が基本です。
また、必ずではありませんが、葬儀社スタッフには「故人に後見人(弁護士・司法書士など)が付いている」と伝えた方が良いかもしれません。
専門職後見人(弁護士・司法書士など)にお葬式・火葬を任せることも可能?
繰り返しになりますが、故人(被後見人)にご家族・親族がいる場合、「お葬式は故人のご家族・親族が行う」が基本です。
しかし、ご家族・親族に何か事情があり、お葬式を行えない(参加できない)場合は、後見人にお葬式(火葬)を任せることも可能かもしれません。もし後見人から了承を得られれば、後見人がご家族の代理として葬儀社の手配、死亡届の届出人になりお葬式を行うことも可能です。
例えば、故人(被後見人)が大阪在住で、大阪でお葬式を行う際に、下記の様な事情でお葬式に関われない場合です。
- 遠方に住んでいて大阪まで行けない
- 高齢や身体的な理由でお葬式に関われない
- お葬式に関わりたくない
専門職後見人(弁護士・司法書士など)にお葬式を任せたい場合は「お葬式をお任せできますか?」と相談してみましょう。経験豊富な後見人であれば、きっと引き受けていただけると思います。
故人(被後見人)が残した財産やご家族の希望にもよりますが、基本的には最もシンプルな「直葬(火葬のみ)」のお葬式が場合が多いです。もし、僧侶の読経や戒名、湯灌などのご希望がある場合は後見人へご相談ください。
後見業務が経験豊富な弁護士・司法書士さんであれば、基本的に地元の葬儀社をご存知の場合が多いと思います。これは業務上必要なことです。専門職後見人が喪主のお葬式(手続き)は少し特殊ですので、その点の事務処理を把握し、予算・状況に柔軟に対応してくれる葬儀社をご存知だと思います。
まとめ
後見人の業務は被後見人が死亡した時点で終了します。後見人がお葬式に関して特別な義務や責任を負うことはありません。故人のご家族や専門職(弁護士・司法書士など)、誰が後見人であったとしても、「お葬式は故人のご家族・親族が行う」が基本です。
また、何か事情がありお葬式に関われない場合は、専門職後見人(弁護士・司法書士など)にお葬式(火葬)を任せることも可能だと思いますので、後見人へ直接ご相談ください。
後見人が必要になった経緯は様々ですし、当社でも専門職後見人(弁護士・司法書士など)が喪主になるお葬式も多く経験しています。年齢を重ねて認知症になった、生まれながらに障害がある、家族がいる・いない、財産がある・ない、収骨をする・しない…本当に色々です。
今回は、故人に後見人が付いている場合のお葬式について、基本的な部分をご説明しました。ご覧になった方が求めていた情報には不十分だったかもしれませんが何卒ご容赦ください。
何かお葬式に関してお困り事がありましたら、いつでもお気軽にご相談ください。
お問い合わせ
新家葬祭
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