近年、ご遺族様が「御香典(おこうでん)を辞退する」お葬式が増えています。全国的に香典辞退の傾向にあるようですが、「関西の8割は辞退」など、特に関西地域が香典辞退の傾向が強いデータもあるようです。
関西といっても広範囲になりますが、都市部を中心に香典辞退は確実に増えていると思います。当社でのお葬式(主に大阪市・堺市)の場合も、ほとんどの方がご辞退されています。
最近は家族葬が主流です。故人様のご家族や友人など、少人数でシンプルなお見送りを希望される方が多いです。
そのため、一般参列者に負担が掛かる「御香典・供花・供物は辞退しよう」という感じです。
御香典辞退は、「一般参列者(友人・ご近所・会社関係など)からの御香典をご辞退」です。ご家族・親族からの御香典は受け取られる方が多いです。
御香典と香典返しについて
御香典とは「お線香の代わりに霊前に供える金品」のことです。【香】:お線香の代わりに供える、【典(奠)】:霊前に供える金品という意味です。
そもそも、御香典には「ご近所でお互いに葬儀費用を出し合う【相互扶助の目的】」もありました。しかし、最近では核家族化が進み「近所付き合いの希薄化」・「ご遺族が故人様の交友関係をよく知らない」などを理由に、小さなお葬式や家族葬が主流になり、御香典も辞退の流れが強まっています。
御香典を頂いた場合は、お葬式後に「香典返し」を贈ります
もし、御香典を頂いた場合はお葬式終了後に「香典返し」を贈ります。贈る品物の金額は、頂いた御香典の「3分の1~から半額程度」が目安です。
地域ごとの慣習(決まり事)も重要です
都心部では「御香典辞退」が多いですが、まだまだ大阪府内でも「御香典を受け取る地域」はあります。
また、自治会参加のお葬式では御香典の代わりに「供花」や「紙樒」を受け取るなどの地域特有の決まり事もあります。「老人会や隣組からの御香典は必ず受け取る」など、地域での決まり事は無理に拒まないことが一般的です。
一方的にすべてを拒否するのではなく、お住いの地域の慣習も考慮することがおすすめです。
香典辞退=将来の心理的負担を避けたい?
先ほどご説明したように、御香典には「相互扶助」の意味合いもあります。基本的に御香典の半分は葬儀費用(残り半分は香典返し)に充てる事ができますので、葬儀費用の点で考えれば「御香典を受け取る」方がご遺族の金銭的負担は軽くなります。
しかし、御香典を頂いた場合、以下の2つが必要です。
- お葬式後の香典返しの手続き
- 将来、御香典を頂いた方のお家に不幸があった場合、こちらも御香典を持って行かなければ失礼になる…
特に「2.将来、御香典を頂いたお家に不幸があった場合」のことを意識する必要があり、心理的負担は大きいのは確かだと思いますし、それを避けたい気持ちが「香典辞退」の大部分かも知れません。
香典辞退をご希望の場合は、受付に「辞退看板」を設置
御香典の辞退をご希望される場合は、
故人の遺志により 誠に勝手ながら 御香典はご辞退申し上げます
と記載した看板を受付に設置いたします。
訃報連絡(お葬式の案内)に【御香典ご辞退】を記載したとしても、御香典をお持ちになる方はまだまだ多いため、スタッフからも参列者へご辞退の旨をお伝えします。
ご遺族・参列者、お互いの気持ち
時々、ご遺族の方が参列者から「何で受け取れないんだよ!いいから受け取ってよ」と少し詰め寄られるケースもあります。
ご遺族側からすると1人でも御香典を受け取ってしまうと、他の方を断れなくなります。
反対に、参列者側からすると故人を弔う気持ちの表れです。故人にお世話になった方なら「気持ちだから受取って!」が本心だと思います。
- ご遺族 ⇒ 参列者に負担をかけたくない。
- 参列者 ⇒ 気持なので受け取ってほしい。
どちらを尊重するか… 本当にむずかしい問題ですね。
家族葬・香典辞退のお葬式はますます増えると思います
家族葬のような小規模のお葬式は、この先ますます増加すると思います。心から故人をお見送りしたい方が集まるお葬式は、本当にあたたかい感じがして良いなと思います。
そして、「香典辞退」のお葬式も増えると思います。御香典には良い面もありますが、やはり「御香典を頂いたお家に不幸があったら…」という、いつ起こるか分からない心理的負担は大きいと思います。
個人的には、どの様なお葬式を行うとしても、ご家族・親族も含めて一切「御香典なし」が良いと思っています。お時間を取って参列していただけるだけで十分です。
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