遺言書には3種類あります。
- 自筆証書遺言
- 公正証書遺言
- 秘密証書遺言
この中で、最も確実で安心な遺言書が「公正証書遺言」です。
公正証書遺言は、法律のプロである【公証人(こうしょうにん)】に作成してもらう遺言です。遺言書の原本は【公証役場】に保管されますので、紛失・改ざんの心配もありません。
作成費用はかかりますが、費用以上のメリット・安心感があります。【公正証書】ですので、極めて強力な証拠力があり家庭裁判所の検認なども必要ありません。また、作成後の書き換えも何度でも可能です。
公正証書遺言の作成件数が増加
終活ブームにともない、「ご自身のお葬式・相続・遺言書」への関心が高まっています。
実際に公正証書遺言の作成件数は1970年頃から年々増加傾向にあり、日本公証人連合会のデータによると、平成23年は約8万件、平成30年は11万件を超えました。
- 平成30年:110,471件
- 令和元年:113,137件
- 令和2年:97,700件
公正証書遺言のメリット
最大のメリットは、法律の専門家が公正証書で作成してくれますので、形式不備が無く強力な証拠力があります。裁判所に遺言書の信憑性(偽造など)を疑られることもありません。
また、遺言書の原本(オリジナル文書)は公証役場で保管されますので、紛失・改ざんの心配がありません。遺言者には、正本(原本の写し)が交付され、ご自身で保管します。
- 遺言書の信憑性や不備による無効などの心配がない。
- 隠ぺいや改ざんの心配がない(原本は公証役場で保管)。
- 聴覚・言語機能の障害、字が書けない人でも作成可能。
自筆証書遺言はご自身で無料作成も可能ですが、「形式不備による無効」や「財産の特定が不十分」、「遺言内容の一部が無効」となる可能性もあります。せっかく遺言書の作成を決意されたのでしたら、法律のプロが作成する公正証書遺言がおすすめです。
公正証書遺言のデメリット
比較的大きなデメリットはありませんが、「作成時間と費用」・「証人2名」が必要です。
作成費用は、「公証人への手数料」・「実費」・「弁護士などの専門家に手続きを依頼した場合の報酬」などです。公証人への手数料は、遺言書に書かれる財産の価額によって変動します。
- 作成費用(公証人に対する手数料や実費など)がかかる。
- 必要書類の準備や日程調整など、手間と時間がかかる。
- 証人2名が必要。証人への報酬も必要。
※証人には遺言内容を知られてしまいますので、知られたくない場合は弁護士・司法書士などの専門家に依頼するのも1つの方法です。
「証人」には誰もがなれるわけではありません。
- 未成年
- 推定相続人及び受遺者並びにこれらの配偶者、直系血族
- 公証人の配偶者、四親等内の親族、書記及び使用人
上記の方は証人にはなれません。もしご自身で証人を確保できない場合は、公証役場で申告すれば証人を紹介してもらうことも可能です。
遺言者(遺言書を作成したい人)が「病気で入院」・「体が不自由」などの諸事情で公証役場まで行けない場合、ご自宅または病院などへ公証人に出張してもらうことも可能です。
ただし、出張費用(実費)・公証人の日当(1~2万円)などが別途必要です。
作成費用
公正証書遺言の作成には、公証人への手数料が必要です。
この手数料は、遺言書に書かれた「財産の価額(誰にいくら相続させるか?)」に応じて決定されます。財産の価額が高ければ公証人への手数料も高くなります。
その他に、「証人の日当」・「公証人へ出張を依頼した場合の出張費」なども必要になります。
目的の価額 | 手数料 |
---|---|
100万円以下 | 5,000円 |
100万円を超え200万円以下 | 7,000円 |
200万円を超え500万円以下 | 11,000円 |
500万円を超え1000万円以下 | 17,000円 |
1000万円を超え3000万円以下 | 23,000円 |
3000万円を超え5000万円以下 | 29,000円 |
5000万円を超え1億円以下 | 43,000円 |
▼より詳しい費用はこちら
作成費用の参考例
- 3,000万円の財産を妻1人に相続させる遺言
23,000円+遺言手数料11,000円=34,000円 - 4,000万円の財産を妻と長男に2,000万円ずつ相続させる遺言
23,000+23,000円+遺言手数料11,000円=57,000円
※相続人が複数の場合、それぞれに手数料が必要です。 - 1億円の財産を妻に6,500万円と長男に3,500万円相続させる遺言
43,000円+29,000円+遺言手数料11,000円=83,000円
※相続人が複数の場合、それぞれに手数料が必要です。
まずは弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう
公証役場へいきなり作成依頼に行くのではなく、最初のステップとして弁護士や司法書士などの専門家に相談することもおすすめです。
日々様々な案件(相続・成年後見人・離婚など)を処理している弁護士や司法書士の方は、いろいろな視点からアドバイスをしてくれます。
ご自身の状況や希望を伝えれば、
- どういった遺言が最適なのか?
- そもそも遺言が必要なのか?
- 遺言書以外に考慮すべき事柄
などを的確に判断してもらえます。
場合によっては、そのままの流れで弁護士・司法書士の方に「遺言書の手続き代行」や「証人」になってもらう方が良い場合もあります。初回相談無料の事務所も多いですので、インターネットなどで探してみてはいかがでしょうか?
まとめ
遺言書の中で、公正証書遺言は証拠性・安全性に最も優れています。作成には時間と費用が必要ですが、ご自身の意思を確実に実現しようとする場合、公正証書遺言(+遺言執行者の指定)がおすすめです。
ただ、遺言書さえ作成すれば、自身の全財産を自由にできるとは限りません。相続人には「遺留分(いりゅうぶん)」という最低限相続できる権利が保障されています。もし、夫(故人)が「全財産を愛人へ譲る」と遺言を残した場合、残された家族が生活に困ります。そういった事態を回避するための制度です。
仮に、相続させたくない人がいる場合は、「推定相続人の廃除」という制度を利用して、家庭裁判所へ申し立て、認められると遺留分を含めて一切の相続できなくなります。ただし、簡単には認められません。
また、遺言内容を実現するためには、「遺言執行者」を指定することも考えましょう。遺言執行者は、遺言内容を実現するために力を尽くしてくれます。相続には専門的な知識が必要となりますので、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することもおすすめです。
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