お葬式終了後、少し落ち着かれてから「いつ納骨をしよう?」とお考えになる方が多いと思います。
また、お墓がある方・お墓がない方、永代供養タイプの合祀墓、墓じまい、改葬… お一人おひとりの状況や検討されていることは様々です。
まず最初に、納骨のタイミング(時期)は自由です。法律にも規定はありません。
数か月~数年間、ご自宅で祀られている方もいらっしゃいます。無理に急いで納骨先を決定する必要はありません。
大切なご遺骨に関することですので、ゆっくりとご家族・親族で話し合って納得のできる納骨先(供養方法)を選ぶことがおすすめです。
主な納骨のタイミング(時期)について
いつ納骨をするか?は基本的に自由ですが、主な納骨のタイミングは以下の4つです。
- 四十九日法要
- 一周忌
- お盆(8月)
- お彼岸(3月・9月)
一般的には、四十九日法要と同日に納骨される方が多いかもしれませんが、「お墓がない方や納骨先が決定していない方」は急ぐ必要はありません。気持ちが整理・納得できるまでご自宅に置いていても問題ありません。
個人的には「故人様の誕生日や好きな季節、結婚記念日」などの特別な日に納骨されるのも良いと思います。
今現在、お墓や納骨堂をお持ちの場合
故人様がお墓や納骨堂の名義人(使用者)である場合は「名義変更」が必要です。詳しくは霊園の管理者にお問い合わせください。合わせて、納骨方法や必要な手続き・費用などもご確認ください。
納骨には基本的に予約が必要です。必ず事前に(最低でも1週間以上前までに)管理者へ予約連絡をしましょう。
また、納骨時に菩提寺のお坊さんが同席して「納骨式」を行う場合は、菩提寺と日程調整をしましょう。
霊園の休園日も必ず確認しましょう。
新しくお墓・納骨堂の購入、合祀墓(永代供養付き)などをお探しの方へ
現時点でお墓・納骨堂をお持ちでない場合、ご遺骨の納骨先(供養の方法)は主に2つです。
- 新しくお墓・納骨堂を購入する
- 合祀墓(永代供養付き)などを利用する
最近は、承継者問題(お墓を管理する人)の心配がない【2.合葬墓(永代供養付き)】を利用される方が多いのかもしれません。合祀墓・共同墓・永代供養墓などと呼ばれます。樹木葬も永代供養タイプの1つです。
- 一定期間は個別のお墓・納骨堂(お家ごとに区切られたスペース)を使用、期間終了後に合祀墓へ。
- 5、15、33年など契約(保管)期間によって金額が変わる。
- 一度預けたご遺骨を後で取り出せる・取り出せない。
次々と新しいサービスが誕生していますので、お墓・納骨堂・合祀墓(永代供養付き)の違いをシンプルにご説明することが難しいのですし、金額も異なります。必ず現地見学をして、ご希望に合った内容かどうかを確認しましょう。
今あるお墓を「墓じまい・改葬(お墓の引っ越し)」をする場合
- 将来、お墓の承継者(管理者)がいない
- 将来、お墓の管理者がいなくなる事が確実(可能性が高い)
- お墓の場所が遠くて管理ができない
お墓を霊園(墓地)管理者へ返却して、新しい場所にお墓などを購入する。または、永代供養の合祀墓に切り替える方も多いです。一度も納骨されていないお墓を墓じまいされる場合もあります。
「お墓をやめる」と聞くと少しマイナスなイメージもあると思いますが、ご家族様の状況や悩みに応じて「より都合の良い供養方法へ切り替える」ことは大切な事だと思います。
墓じまい・改葬をお考えの場合は、個人だけで判断をせずに必ずご家族・親族と相談されることがおすすめです。
墓じまい・改葬(お墓の引越し)には、役所手続きが必要です
墓じまい・改葬は、個人で自由にできません。役所での書類手続き等が必要です。
【墓埋法 第5条】
墓地、埋葬などに関する法律(厚生労働省)
埋葬、火葬又は改葬を行おうとする者は、市町村長(特別区の区長を含む。)の許可を受けなければならない。
- 新しい納骨先の決定・今あるお墓の管理者へ相談
- 受入許可証・改葬許可証・埋葬証明書などの手続き
- ご遺骨の取り出し・墓石の撤去など
- 新しい場所へ納骨
また、お墓の土地の所有権は霊園側にあります。「お墓を購入=お墓を建てる土地の使用権を購入」なので、お墓が不要になった場合は、墓石を撤去して更地に戻して管理者に返却する必要があります。
墓石の撤去費用は、一般的なお墓(敷地:90cm×90cm)で約20万円程です。
墓じまい・改葬に必要な書類は3つ
- 新しい納骨先(霊園など)から「受入許可証」
- 今あるお墓の市町村から「改葬許可申請書(改葬許可証)」
- 今あるお墓の管理者から「埋葬証明書」
「新しい納骨先からの受入許可・今あるお墓の引越し作業許可・埋葬されていた遺骨の証明」の3つが必要です。
改葬は少し複雑ですので、新しい納骨先(または市町村)へのご相談がおすすめです。
まず市町村で「改葬許可申請書」を受取り、今あるお墓の管理者から「埋葬証明」部分に署名捺印をもらいます。
※改葬許可申請書と埋葬証明書は合わせて1枚の用紙の場合が多いです。
そして、改葬許可申請書と「(新しい納骨先発行の)受入許可証」を市町村へ提出すると、「改葬許可証」が発行され、ご遺骨の取出しと墓石撤去になります。
場所によって詳細な手続きが異なりますので、市町村やお墓の管理者へご相談ください。
寺院墓地を改葬する場合は離壇料が必要?
改葬には今あるお墓の管理者の「署名捺印」が不可欠です。
公営・民営墓地では特に問題はないですが、寺院墓地の場合は寺院からすると【お墓の返却 ⇒ 檀家の減少 ⇒ 収入の減少】になります。そのため、寺院墓地を改葬する場合に「高額な離檀料」を請求されるトラブルも稀にあるようです。
離檀料に関する法律はありませんし、契約書にも規定は無いと思いますので、支払い義務は無いと考えられますが、今までお世話になった御礼として納得のできる金額であればお渡ししましょう。相場としては「数万円~20万円ほど」だと言われています。
しっかりと事情や経緯を説明すればトラブルは無いと思いますので、実際にはあまり心配されなくても大丈夫です。
お墓や納骨堂「以外」の選択肢(供養の方法)
ご遺骨の供養方法は、従来のお墓や納骨堂が最も多いですが、最近では「承継者の心配がない永代供養タイプの合祀墓」を利用する(切り替える)方も増えています。
また、お墓・納骨堂など特定の場所へ納骨する「以外」の供養方法もあります。代表的なモノは以下の3つです。
- 手元供養
- 遺骨ダイヤモンド
- 海洋散骨
手元供養(てもとくよう)は、ミニ骨壺などを利用してご自宅でより身近にお祀りする供養方法です。遺骨ダイヤモンドは、ご遺骨から炭素を抽出して製作する人工ダイヤモンドです。そして、自然葬とも呼ばれる海洋散骨はご遺骨をパウダー状にして海へ散骨します。
納骨には特別な決まりはありませんので、ゆっくりとご検討ください
納骨のタイミングなどについてお話しましたが、「遺骨をいつ納骨をするか?」は基本的に自由です。
加えて、お墓がある・お墓がない・お墓は不要・改葬を考えてる… 今現在のご家族様の状況(将来の予測)などによって色々と別の悩みがあると思います。
昔のように、長男がお墓を守っていく時代ではなくなりました。実際、承継者が途切れて無縁墓になるお墓の増加が社会問題となっています。ただし、今は合祀墓・手元供養・散骨など様々なサービスがありますので、より最適なサービスがあれば、切り替えることを検討するのも大切だと思います。
いずれにしても、大切なご遺骨に関することですので、納骨先や供養方法については焦らずにゆっくりとお考えください。