お彼岸は年に2回あります。「春分の日(3月20日頃)」と「秋分の日(9月23日頃)」を中心に、その前後3日を含めた合計7日間がお彼岸の期間です。
- 春彼岸(3月):春分の日(3月20日頃)
- 秋彼岸(9月):秋分の日(9月23日頃)
お彼岸は仏教本来の伝統ではなく、日本独自の風習です。お彼岸の時期は、お仏壇の掃除やお墓参りをして、ご先祖様・故人様に対して感謝と供養をします。
仏教では、三途の川を挟んで
- 西側を彼岸(ひがん):悟りの世界=極楽浄土
- 東側を此岸(しがん):私たちが住む世界
とされています。
春分・秋分の日には、太陽が真東から真西を通ることから、彼岸と此岸が最も通じやすくなる(近くなる)日と考えられ、その日に先祖供養をする慣習が広まりました。
お彼岸は年2回(3月と9月)
- 春分の日(3月20日頃)を中日とした合計7日間:「春彼岸」
- 秋分の日(9月23日頃)を中日とした合計7日間:「秋彼岸」
お彼岸の初日を「彼岸入り」、最終日を「彼岸明け」と呼びます。春分・秋分の日(祝日)を基準にしますので、その年ごとに少し期間が異なります。
2024年(令和6年)では、春分の日:3月20日、秋分の日:9月22日です。
彼岸の語源は、古代インド語の1つであるサンスクリット語(梵語)の「パーラミータ(音写:波羅密多)」を漢訳した「到彼岸(とうひがん)」が由来です。
- 音写:意味ではなく発音で訳すること。
- 漢訳:漢字文化圏外の言葉を漢文・漢語へ翻訳すること。
到彼岸(とうひがん)とは、【彼(か)の岸に到る】という意味です。
彼の岸とは、「悟りの境地(極楽浄土)」を意味します。つまり、「私たちが生きている現実の世界(煩悩の世界)から、悟りの世界へ到達する」という意味です。
日本ではお彼岸の時期に「六波羅蜜(ろくはらみつ)」の修行をすることで、彼岸(極楽浄土)に行くことができると考えられています。
お彼岸の7日間の内、中日をご先祖様に感謝する日、残り6日間は六波羅蜜の修行を1日1つずつ修めるためとされています。
実際には、六波羅蜜の実行は難しいので、現在では「6つの行いを日頃から心に留めておけば、より良い人生になりますよ」という教えです。日頃のお仏壇掃除やお墓参りも立派な修行の1つだと思います。
- 布施(ふせ):見返りを求めず人に尽くす
- 持戒(じかい):規律を守り反省する
- 忍辱(にんにく):不平不満を言わず耐え忍ぶ
- 精進(しょうじん):最善を尽くして努力する
- 禅定(ぜんじょう):心身を静め安定させる
- 智慧(ちえ):真実を見抜く力を付ける
お彼岸には何をするの?
お彼岸の期間は、この世とあの世が最も通じやすくなる(近くなる)期間と考えられていますので、ご先祖様(故人様)に感謝し供養します。身近なところでは、お仏壇の掃除とお供え物、お墓参りです。
ご家庭の事情もありますから、無理をする必要はありません。お写真に向かって手を合わせるだけでも構いません。最も大切なのは、ご先祖様への感謝の気持ちです。
お盆(8月)の時期は「学校の夏休み」や「会社のお盆休み」、「帰省」などと重なり、多くの方がお墓参りへ行かれるので霊園も混雑していますが、お彼岸(3月・9月)の時期は比較的人出も少ないですし、気候的にもお墓参りに最適だと思います。
地域の寺院で「彼岸会」イベント
お彼岸の期間、「彼岸会(ひがんえ)」という仏事行事を行う寺院も多いです。堅苦しいものではなく、小さなお子さんも楽しめるイベントも開催されます。
最近では、仏教をより身近に感じて欲しい思いから、幅広い年齢層の方が参加できるイベントを企画する寺院も多く、地域コミュニケーションの場ともなっています。
ご近所でイベントを開催している寺院がある場合は、一度参加してみてはいかがでしょうか。
お盆(8月)はご先祖様が帰ってきますが、お彼岸は帰ってきません
お盆とお彼岸の違いは「ご先祖様がいる場所」です。
お盆(一般的に8月13日~16日)には、ご先祖様の霊が年に一度だけこの世(お家)に帰ってくるとされ、お迎えと見送り(迎え火・送り火)をして丁寧に供養します。
一方、お彼岸ではご先祖様の霊はこの世(お家)に帰ってきません。彼岸(あの世・極楽浄土)にいます。ただ、お彼岸(春分・秋分の日)はあの世とこの世が最も近くなる時期ですので、彼岸にいるご先祖様に対して感謝し供養します。
- お盆(8月):年に1度帰って来くるご先祖様をおもてなしする
- お彼岸(3月・9月):あの世にいるご先祖様への感謝と供養。そして極楽浄土へ行けるように努める
基本的に、ご先祖様に感謝し供養するという点では同じですので、お仏壇の掃除やお供え物、お墓参りに行くなど感謝の気持ちが大切です。
【おまけ】「ぼたもち(牡丹餅)」と「おはぎ(お萩)」
お彼岸のお供え物といえば、「ぼたもち(牡丹餅)」と「おはぎ(お萩)」が定番です。なぜこの2つか?というと春と秋に咲く花が由来になっています。
【春は牡丹(ぼたん)】、【秋は萩(はぎ)】の花に見立てています。
ですので、春彼岸には【牡丹餅:こしあん】、そして秋彼岸には【お萩:粒あん】がお供え物として使用されます。
実は、牡丹餅とお萩は基本的に同じです。季節や小豆の調理方法の違いで呼び名が異なります。
- 春の小豆は皮が固いので、皮を取り除いた「こしあん」
- 秋の小豆は皮が柔らかいので、皮を使用した「粒あん」
しかし、最近では品種改良された小豆が登場し、お萩を1年中販売するお店が多いので、お萩に馴染みがある方が圧倒的に多いようです。地域によっては、両方ともお萩と呼ぶ場合もあります。
まとめ
お彼岸・お盆は、どちらもご先祖様に感謝し供養する期間です。また、その期間に寺院などで開催されるイベント(彼岸会)はお子さんも楽しめますし、仏教を学びたい方には良い機会だと思います。意味を知ることで、お彼岸に対する気持ちも違っ来ると思います。
「暑さ寒さも彼岸まで」と言われるように、お彼岸はちょうど季節の変わり目にあります。季節的にもお彼岸(特に春彼岸:3月)は、お墓参りには最適な時期だと思います。ぜひ、ご家族でお墓参りに行かれてはいかがでしょうか。
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