お医者さんから深夜に電話がありました。事情は分かりませんが、とても珍しいです。残念ながら、他府県(対応エリア外)でしたのでお力になれませんでした。
時々ですが、看護師・介護スタッフさん等からのお電話はあります。ご家族様から「もし葬儀社を知っていれば、紹介してください」と相談を受けるそうです。
実際、急に「葬儀社を手配してください」と言われても困る人も多いはずです。本来の業務外であっても、病院・施設としてできる範囲で対応してあげたい部分もあるかもしれませんね。
なぜ、お医者さんから電話?
電話の後、「なぜ、お医者さん自ら葬儀社に電話を?」とその可能性を考えました。
- 故人に親戚が一人もいない?
- 救急で運ばれてお亡くなりになった?
- 最期を看取った訪問医療のお医者さん?
など色々と考えましたが、
◯◯かな? ⇒⇒ でも、それなら◇◇で解決するし…
そんな事の繰り返しで、明確な理由は分かりませんでした。
本来はご家族・親族などが葬儀社の手配
故人にご家族・親族がいる場合は、そちらへ死亡連絡が行き、ご家族が葬儀社の手配を行います。通常入院では保証人(緊急時の連絡先)を病院にも伝えているはずです。
よほどの事情が無い限り、お医者さん自ら葬儀社へ電話(相談)をすることは考えられません。
今回のご相談は「おひとり様」?
あくまで推測ですが、今回の故人様は「おひとり様+生活保護受給者」かもしれません。
すべての病院が葬儀社と関わりがあるとは限らないので、深夜で対処方法がわからず当社にお医者さん自ら相談という流れだと思います。
複雑な事情・状況でのお葬式のご依頼はあります。
- 生活保護を受けている・検視になった・後見人が付いてる。
- 上記に加えて、ご家族・親族のいる・いない。
- 家族はいるけど音信不通。
- 家族・親族から葬儀(ご遺体引取り)を拒否される場合も。
近年、未婚の方も増えていますので、【誰かが亡くなる ⇒ ご家族がお葬式・遺骨を供養する】という従来の基本的な流れに当てはまらないケースが徐々に増えてくるのかもしれません。
おひとり様と言っても色々
一般的に、「お一人で生活されている方」をおひとり様と言いますが、状況は人それぞれです。
- 一度も結婚していない方
- 配偶者に先立たれて、お子さんが独立している方
- 配偶者に先立たれて、お子さんがいない方
- 離婚をしている方
- etc…
状況によって、誰が最期を看取るのか?誰がお葬式と供養をするのか?も変わります。本当にご家族・親族が1人もいない方は稀です。
おひとり様への専門サービス
おひとり様の中には、ご自身に何かがあった時の対策として専門サービスを契約している人もいます。
「どのサービスが自分に適しているのか?」を判断するためには、専門家(弁護士・司法書士など)とのご相談がおすすめです。
- 任意後見人契約:将来、認知症になった時のため
- 遺言書:財産を分配・整理するため
- 死後事務委任契約:死亡後の事務手続きのため
- 見守り契約:定期的に自宅に人が来てくれる
など色々あります。その人の状況や希望によって、契約すべきサービスは異なります。
市町村がおひとり様へのサービスを開始?
以前、どこかの市が「おひとり様向けの終活サービスを開始する」という記事を目にした事があります。
確か、見守り・お葬式・納骨・遺産相続・遺品整理まで任せられる仕組みだったと思います。おひとり様でご自身の最期に不安がある方には素晴らしい取り組みだと思います。
ただ、市町村(役所)は窓口であっても、実際の業務は民間企業が行うはずです。では、その企業はどうやって選ばれるのか?登録制?入札?実績?その他の疑問点として
- 死亡した場合、誰に連絡が入る?
- 費用は総額いくら?
- 相続人がいる場合は?
- 親族が契約をキャンセルしたら?
いずれにしても、医療・葬儀・相続・遺骨供養までのサポートであれば、かなりの費用が必要だと思います。全額自己負担で、市からの補助金はなかったはずです。
いくつか疑問点がありますが、高齢化社会が進む今、社会的な孤立を防ぐ仕組み、安心して暮らせるサービスがより重要になる気がします。将来、自分自身にも関わる事かもしれませんし。
今回、お医者さんからの電話で思ったこと
今回、お医者さんからの電話でふと思ったこと。
おひとり様が増加すると、お医者さんや看護師さんが葬儀社を手配する機会が増える?…
手配と言っても、厳密にはお葬式ではなく「一時的な対応」として。具体的には、「ご家族の了承を得て、代理で葬儀社へ連絡(相談・ご遺体処置・安置)まで」という感じだと思います。
ん〜でも、いくつかの問題点やトラブルが思い浮かぶので、あまり現実的ではないのかも…あくまで「葬儀社の手配はご家族で」が基本です。
病院も困る場合があります
ただ、故人の家族や親族の連絡先が不明な場合、病院も困ります。役所へ連絡をすれば身内を探してもらえますが、深夜・土日祝日の場合は対応が遅れます。
また、家族が遠方に住んでいる場合もあります。そして最悪の場合、身内から「拒否」される可能性もあります。かといって、病院も長時間ご遺体を放置することもできませんので、何らかの対応が必要になります。
検視(検死)になれば警察が対応しますが、病院・警察・役所の詳しい連携がちょっと不明です。きっと、お電話くださったお医者さんも何らかの事情で困っていたんだと思います。
もっと簡単に「自分の最期」を託せるように
近年、日本での未婚率が上昇しているようです。経済状況や価値観の変化もあると思いますが、事実婚(内縁関係)を選択する人も将来増えるかもしれません。そうなると、お葬式以外に遺産相続の問題も出てきます。
おひとり様が増える ⇒ でも、ご自身の最期について万全の準備をする人はきっと少ないはず
現在の法律では、事実婚(内縁者)には相続権や税制上の優遇はありません。せっかく一緒に財産を築いても「内縁者は相続できない」など何らかの問題が起こる可能性もあります。
対策として遺言書もありますが、法律婚(婚姻届を提出した結婚)に比べると法的保護は弱い部分もあります。
また、友人にお葬式を任せたいと思っても、友人は死亡届の届出人になれませんし、故人の財産をお葬式費用に使用する権利もありません。
つまり、「お金を残すので、お願い!」と内縁者や親しい友人に任せたくても、簡単に任せることができません。もし故人に親族がいる場合、後で訴えられる可能性もあります。
法律に守られている?縛られている?
ご自身の財産であっても、内縁者や友人に「自由に使って良いよ」とは言えません。ご自身の遺産は、基本的に法定相続人(民法で定められた相続人)のものです。
正当な権利を持った人を守るという法律の重要性は分かります。でも、立場を変えると「もう少し柔軟にならないかなぁ」と思う部分もあります。
法律に守られているのか?法律に縛られているのか?
複雑な気持ちになる時があります。
ご自身のお葬式相談に来られる方の中には
- 家族はいるけど、自分の葬儀に呼びたくない。
- 内縁の妻と友達だけで見送って欲しい。
- 遺産を全額寄付したい。
と希望される人もいます。
対策として、遺言書や死後事務委任契約などがありますが、費用もかかりますし、内容によっては完全に希望を叶えることができない場合もあります。
法律や制度も大切ですが、おひとり様が「自分の最期を託せる方法」がもう少し簡単になれば良いなと思います。「故人の意思を尊重して、故人の希望を実現できる」その範囲が広がるように。
個人的には、友達がお葬式をしてくれるなら、厳格な契約なしで一定額の範囲でお金を預けて任せられる制度があっても良いと思います。
何もしてくれなかった法律上の相続人に財産を譲るより、最期まで仲良くしてくれた人に自分の財産を譲りたいですね。
さいごに
故人様の状況・事情が複雑であれば、私たち葬儀社も戸惑う場合ありますし、役所の方も戸惑う場合もあります。きっと、病院が困る場合も私たちの想像より多いかもしれません。
お葬式の内容は本当に様々です。そして、時々 “自分の最期を見送ってくれる人がいる” のは、とても幸せなことだと感じます。
きっとお医者さんも「何とかしてあげたい」と思って、当社に電話をくださったんだと思います。
困った時に助けてもらう、困った人を助ける、お互いに助け合うことって大切ですね。
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