お葬式では喪主が参列者へ挨拶をする場面があります。ただし、必ずではありません。司会者の代読も可能です。また、家族葬(ご家族のみ)の場合は省略することも多いです。
あまり深く考える必要はありません。「お葬式に参列していただいた事・故人が生前お世話になった事」に対して、感謝を伝えることが大切です。難しい言葉を使わずにご自身の言葉で伝えましょう。短くてもゆっくりでも大丈夫です。
- あいさつの長さは1~3分程度
- 紙に書いて読むこともおすすめです
- 故人の経歴やエピソードも少し加えると良いと思います
お葬式では喪主様があいさつを行う場面がいくつかあります。「あいさつ」と聞くと緊張されるかもしれませんが、シンプルなものでも大丈夫です。
また、一般参列者がいない家族葬や直葬(火葬のみ)の場合は、喪主あいさつを省略する場合もあります。
喪主様がご自身で挨拶されるのが理想ですが、最近では司会スタッフが挨拶代読をする場合もあります。
参列者へ「来てくれてありがとう」と感謝を伝えるものとお考え下さい。
喪主あいさつの場面(タイミング)
- お通夜閉式の際
- お通夜後の食事(開始時・終了時)
- 告別式閉式・出棺の際
- 告別式後の食事(開始時・終了時)
基本的には上記4つの場面で喪主様があいさつをしますが、一般参列者がいない家族葬や直葬(火葬式)の場合は、喪主あいさつを省略する場合も多いです。
喪主あいさつはほとんどの方が未経験です。内容を紙に書く方、涙があふれ言葉に詰まる方も多くいらっしゃいます。
「故人の生い立ち・家族での思い出・普段は照れて言えなかった感謝の気持ち」などを含めると、1つ1つがその人にしか作れない素敵な文章になります。
緊張すると思いますが、結果的に挨拶をして良かったと皆さんおっしゃいます。
誰に対してあいさつをするか?
挨拶の対象者は、大きく分けて【1.ご親族】・【2.参列者】です。
1.ご親族に対して
通夜振る舞いなど、食事をする際の挨拶です。ご親族に対してのあいさつですので、あまり形式ばった言葉を用いる必要はありません。
2.一般参列者に対して
お通夜・告別式で一般参列者(知人・会社関係など)に対しての挨拶です。一般定型文を参考にします。あまり深く考え過ぎず、最低限「弔問・会葬に対するお礼」と「故人に対する生前のご厚誼へのお礼」を含めたシンプルなもので構いません。
喪主あいさつに含める4つの内容
お通夜・告別式での喪主あいさつの内容は、一般的に下記の内容を含めます。
- 故人と自分との関係
- 弔問・会葬のお礼
- 生前のご厚誼へのお礼
※ご厚誼(こうぎ):情愛のこもった親しい付き合い - 遺族への支援のお願い
基本的に「重ね言葉」は避ける
不幸を繰り返さない意味で、「重ね言葉」は避けた方が良いとされています。ただ、重ね言葉を用いたからと言って非難されるものではありません。最も大切なのは、参列に来てくださった方への感謝の気持ちです。
重ねて、重ね重ね、重々、いよいよ、ますます、再び、再度、続いて、引き続き、次々、くり返す、返す返す……
むずかしい言葉使わずに「自分なりの言葉」で大丈夫です
「本日は、お忙しいところご参列くださいまして…」など、一般的な定型文がありますが、あまり深く考えなくても良いと思いますし、難しい言い回しや長文にもこだわる必要はありません。
シンプルに「皆様に見送られ故人も喜んでいると思います。ご参列くださり本当にありがとうございました。」のように短い一文でも問題ありません。
- むずかしい言葉を使わずに、自分の言葉で
- 慌てずに、ゆっくりと
- 一言一言、丁寧に
“自分なりの言葉” で素直に故人と会葬者への感謝の気持ちを述べることが最も大切です。
喪主あいさつの参考例
先ほどご説明した喪主あいさつの基本的な4つの場面(タイミング)での参考例文をご紹介します。
- お通夜閉式の際
- お通夜後の食事(開始時・終了時)
- 告別式閉式・出棺の際
- 告別式後の食事(開始時・終了時)
1.お通夜閉式の際
お通夜閉式の際1
【長男の○○】と申します。親族を代表いたしまして、皆様に一言ごあいさつを申しあげます。本日は、ご多用のところ(またお足もとの悪い中)、亡き【父○○】の通夜にご弔問くださり誠にありがとうございます。故人が生前たまわりましたご厚誼と、ご厚情に心より感謝申し上げます。
親しくお付き合いいただいた皆様においでいただきまして、故人も喜んでいる事と思います。本日は、誠にありがとうございました。
お通夜閉式の際2
本日は、お忙しいところ亡き【父○○】の通夜にご弔問くださり誠にありがとうございます。また、入院中は多くの方に温かいお見舞いを頂戴しまして、本当にありがとうございました。
生前、親しくお付き合いのいただいた皆様においで頂きまして、【父】も喜んでいる事と思います。本日は、ありがとうございました。
2.お通夜後の食事(開始時・終了時)
お通夜後の食事「開始時」
本日はお忙しい中、通夜に参列いただきありがとうございました。皆様にお集まりいただき、故人も喜んでいることと思います。
ささやかではございますが、お料理をご用意いたしました。どうぞお召し上がりながら、故人の思い出話などをお聞かせいただければ幸いです。
お通夜後の食事「終了時」
本日はありがとうございました。お陰様で、滞りなく通夜を終えることができました。
もう夜も更けてまいりました。お話は尽きませんが、遠方よりお越しの方(明日、お仕事の方)もいらっしゃると思いますので、このあたりでお開きにさせて頂きたいと思います。
なお、明日の告別式は午後○○時からとなっております。お時間がございましたら、お見送りに来て頂ければと思います。本日は、遅くまで本当にありがとうございました。
3.告別式閉式・出棺の際
告別式閉式・出棺の際
【長男の○○】と申します。親族を代表しまして皆様に一言ご挨拶を申し上げます。本日は、ご多用中にもかかわらず、ご会葬・ご焼香を賜りありがとうございました。
おかげをもちまして昨日の通夜、本日の葬儀・告別式を滞りなく執り行うことができました。最後までお見送り頂きまして、【故人】も喜んでいる事と思います。
▼▼故人の経歴・エピソードへ続く▼▼
昨年、健康診断でガンが見つかりまして入院・検査・手術とあわただしい日々を過ごしていました。回復を祈っていましたが、その甲斐もなく○月○日永眠いたしました。最後も本当に眠るようでした。
【母】は、明るく元気で笑顔が素敵な女性でした。いつも私たちに優しく微笑みかけてくれた【母】は、抗がん剤の副作用にも我慢し、気丈に振る舞っていました。
入院してからは、家族で過ごす時間も増え、思い出話に花を咲かせることもあり「またみんなで旅行に行こうね。」と家族で話していたのですが、それが叶わず残念です。
もっと【母】と話したかった、もっと色々なことを教わりたかったという気持ちが込み上げてきますが、これからも【母】は、私たちの心の中で微笑みかけてくれると思います。
【父】は、口数が少なく真面目で仕事一筋でした。家族サービスが旺盛なタイプではなかったですが、時折かけてくれる言葉が私たちにとって最高のアドバイスとなり、心の支えにもなりました。
母が早くに亡くなり、【父】は仕事と家庭を男ひとりで守ってくれました。私たちも大人になり、それぞれ家庭を持ちました。あらためて私たちを男一人で育てるのに毎日大変だっただろうと思います。今は、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
私から見ても、【父】は不器用な人でしたが、力強く人生を生き抜きました。私たちも【父】のように強く生きて行こうと思います。
なお、残されました私ども家族に対しまして、今後とも、亡き【父】同様、ご指導ご厚誼を賜りますようお願い申し上げます。
簡単ではございますが、遺族を代表しましてお礼の挨拶とさせていただきます。本日は、誠にありがとうございました。
お客様の実例のご紹介
長男の○○と申します。親族を代表しまして一言あいさつをさせていただきます。
え~… 私は…… 私は、父親が嫌いでした。
遊んでもらった記憶もほとんどなく、仕事ばかり、無口でよくわからない人でした。子供に無関心な人だと思っていました。
昨晩、父の遺品を整理していると、財布から父・母と私の小さい頃の写真が出てきました。よれよれで色あせて、ずっと財布の中に入れていたんだと思います…
私も家庭を持ち、子供が生まれ、同じように家族の写真を財布に入れています。よく考えれば、私自身も無口で家族サービスをよくする父親だとは言えませんが、大切な家族を守らなければとの自覚はあります。
しかし、仕事疲れで休日は寝ていたり… 男は、父親は、こんなもんだと考えていたのかもしれません。
もう直接本人には聞けませんが、きっと父も、ただ自分の大切な家族を守るために必死で働いていた… そう思います……
結局、私は嫌いだった父にそっくりでした。
父は不器用なりに家族を守ってくれました。今は、本当に感謝しています。私も父同様に家族を守っていきたいと思います。
人付き合いが下手な父が、このようなたくさんの人たちに見送られて、とても喜んでいると思います。本日はありがとうございました。
長女の○○です。本日は母の葬儀にこんなにたくさんの方に来ていただき、母もとても喜んでいると思います。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、私たち家族には父がいません。私が小学生の時に亡くなり、母が私と妹を育ててくれました。とても優しく、そしてとても厳しかったです。
私は高校3年の時、進学で迷っていました。母に「どう思う?」と相談すると、母は「良いか悪いかは、お母さんには正直分からない。
けど、失敗してもあなた次第で何とかなるわよ。こんなお母さんにも若い時は色々あったんだから。
○○… 大丈夫… お母さんはずっと応援するから頑張りなさい。」と勇気付けてくれました。
今思えば、いつもニコニコ明るい人でしたが…父を亡くした時は、とてもとても辛かったと思います。でも、父の葬儀の時に泣いている母を見た以来、落ち込んでいる姿が記憶にありません。
きっと、そんな母でいれたのもご近所の方、ご参列くださった方たちのおかげだと思っています。今まで、母と仲良くしてくださり本当にありがとうございました。
母は幸せだったと思います。きっと天国で父と会いニコニコしてると思います。本日はありがとうございました。
4.告別式後の食事(開始時・終了時)
告別式後の食事「開始時」
昨日から今日まで、長時間に渡りありがとうございました。皆様のお力添えをいただき、滞りなく葬儀を終えることができました。家族を代表しましてお礼申し上げます。
皆様、さぞお疲れのことと思います。ささやかですが、お料理をご用意させて頂きました。この後、お骨上げ・初七日法要と残っておりますが、どうぞごゆっくりお召し上がりください。本日は、ありがとうございました。
告別式後の食事「終了時」
皆様、間もなく「お骨上げ」になります。お時間が許される方はどうぞお付き合いくだされば幸いです。飛行機や電車などの予定もあると思いますので、ご都合が悪い場合は無理をせずお申し付けください。本日はありがとうございました。
家族葬やお葬式の時間帯によっては、お料理を注文されない方もいらっしゃいます。
関西の場合、火葬開始~お骨上げまでの間(約1時間30分~2時間) 、ご家族・親族でお食事となります。
本来、四十九日法要終了後に精進料理から通常の食事に戻す区切りとして振る舞われた料理を「精進落とし」といいます。
現在では、告別式終了後や初七日法要後に振る舞われる料理を指します。仕上げ料理・精進落とし・精進上げ・お斎など地域によって呼び方は異なります。
よくあるご質問
- 喪主が必ず挨拶をするの?
- いいえ、例えば喪主(お母様)の代わりに長男・長女が挨拶をする場合もあります。この場合、司会者から「ご遺族を代表しまして、長男(長女)○○様から皆様へご挨拶がございます」とご紹介いたします。
- 故人の子は私(長女)だけなのですが、挨拶は男性(私の夫)が良いですか?
- いいえ、男女関係なく、どなたが挨拶されても大丈夫です。
- あいさつの平均的な長さ(時間)は?
- 平均1~3分程です。
- 紙に書いた内容を見ながらは失礼ですか?
- いいえ、決して失礼ではありません。紙に書かれて挨拶される方も多いです。
- 会食の開始に「献杯(けんぱい)」は必ずしますか?
- 「故人に敬意を表し、死を悼んで杯を差し出すこと」を献杯といいます。地域の慣習や個人差などもありますが、必ず行うものではありません。
最近では献杯の音頭をとらず、「皆さんに見送っていただき故人も喜んでいると思います。ささやかではございますがお料理をご用意いたしましたので、どうぞお召し上がりください」と喪主様などが挨拶をし、会食開始が一般的です。
お葬式のご依頼・ご相談
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