お葬式相談窓口(事前相談)

知らない人が相続人に加わる?まずは、故人の戸籍を調査

故人の遺産相続は、まず「誰が正式な相続人であるか?」を調査することからスタートします。

どうやって正式な相続人を調査するかと言うと、故人の「出生~死亡時までのすべての戸籍謄本」を集めます。正確には、「死亡時の戸籍⇒出生時の戸籍」とさかのぼって集めていきます。人によって出生時までの戸籍の枚数は異なります。

戸籍を調査して分かった相続人(法定相続人)が故人の遺産を相続します。

戸籍の収集方法

まず現在の本籍地(A)で戸籍を取る

まずは、現在の本籍地(A)の役所で戸籍を取ります。

旧の本籍地(B)がある場合は、Bの役所へ

もし、Aより前の本籍地(B)がある場合は、続けてBの役所で戸籍を取ります。

故人の「出生」が分かる戸籍まで続ける

Bより前の本籍地(C)がある場合…… これを故人の「出生」が分かる戸籍まで続けます。

故人の戸籍を調べることで「正式な相続人」がわかります

故人の戸籍謄本をさかのぼることで、身分関係(出生・結婚・死亡・親族関係等)が全てわかり、誰が正式な相続人に該当するかが判明します。

ちなみに、財産を残す人(死亡した人)を「被相続人」、財産をもらう人を「相続人」といいます。

  • 戸籍謄本(とうほん)
    戸籍に記載されている「全員の身分事項情報」を証明するもの。
  • 戸籍抄本(しょうほん)
    戸籍に記載されている「一部の人の身分事項」を証明するもの。

遺言書がない場合、「法定相続人」が遺産を相続します

遺言書がない場合、法定相続人(民法で決められた相続人。故人の配偶者・子・親・兄弟姉妹など)が故人の遺産を相続します。一般的に【故人の配偶者と子】または【子のみ】になるケースが多いです。

法定相続人は故人の遺産を相続する権利がありますので、該当する人を無視はできません。必ず相続人全員での話し合いが必要です。

法定相続人の参考例
  • 夫・妻・子の家族構成で、夫が死亡した場合は「妻と子」
  • 夫・妻・夫の両親の家族構成で、夫が死亡した場合「妻と夫の両親」
  • 夫・妻・孫(子が先に死亡)の家族構成で、夫が死亡した場合「妻と孫」
遺言書がある場合は、遺言書が優先

故人が遺言書を作成していた場合は、基本的に遺言書の内容に沿って相続をします。

知らない人が相続人になる可能性は0ではありません

知らない人が相続人として現れる(見つかる)なんて、そんなドラマみたいなこと…と思われるかも知れませんが、可能性が0とは言い切れません。

実際、当社にお葬式をご依頼くださった方の中にも、想定外の相続人が見つかった方もいます。故人様から何も聞いていなかったようで、本当にビックリされていました。

  • 戸籍を調べたら、「妹」が見つかった。
  • おじいちゃんが実は再婚で、他に知らない相続人がいた。

本当にドラマや映画のような話に感じますが、でも実際は司法書士などの専門家とお話しをすると、結構よくあるお話しみたいです。

知らない人が相続人に該当する場合でも無視はできません

突然、知らない人(Aさん)が相続人に該当すると判明した場合、

会ったこともないし、今まで何も協力してくれなかったし、お葬式にも来なかったので無視しよう…

という気持ちは分からないでもないですが、相続人である限り無視はできません。

例えば、故人が不動産をお持ちだった場合、名義を変更するには「相続人全員の戸籍謄本,住民票の写し等」が必要です。つまり、Aさんは正式な相続人の1人ですので、Aさんの協力なしに名義変更はできません。Aさんには遺産分割協議などの話合いに参加してもらう必要があります。

もし知らない相続人が見つかった場合は、ご家族が直接お話し(連絡)をする

故人が、どのような理由で、ご家族「以外」に相続人がいる事実を言わなかったのか?隠していたのか?言うタイミングを逃してしまったのか?様々な事情があると思います。

離婚・再婚、もしくは単純に離婚した家族には相続権が無いと思っていた等、きっと悪気があっての事ではないと思います。

しっかりと事情・状況を話しましょう

ご自身(家族)からすれば「知らない人に財産をあげるなんて」と思う気持ちも理解できますが、一方的に「相続を放棄しろ」「遺産分割協議書に署名捺印と印鑑証明書の提出」を求めるような書類を送り付けるのは横暴ですし、トラブルの原因になるので絶対に止めましょう。

相手の立場になれば、確実に気分を害することは簡単に想像できます。本当は協力的な人であっても、一方的に「権利を放棄しろ」と言われれば、財産分与を強く要求したくなるかもしれません。

相手も同じようにビックリするはずです

相手側も「故人の存在を知らない、知らない人の相続人に該当するなんて想像もしていない」場合もあり、皆さんと同じ様にビックリされるはずです。

突然、「私とあなたは実は親戚で、あなたにも相続権があるのでお話しがしたい」と言われれば、何かの詐欺?と最初は疑うと思います。私自身、その様なお話しが知らない人から来れば100%疑います。

ですので、最初は郵便で挨拶文・自己紹介とご自身の連絡先、簡潔に相談内容、相続人である証明として戸籍のコピーを送るなどが良いと思います。

困った時は相続の専門家(弁護士・司法書士など)に相談しましょう

もし、知らない人が相続人だと判明した場合は、基本的にご家族の代表者が連絡を取り、直接お会いして事情を説明した上で、協力してもらうことが必要です。その人も同じ相続人ですので、平等に相続権があることを説明し、その人の気持ちとご家族の意向に合った方向に進むことが理想です。

ただし、最初にどの様に連絡を取るべきか?どう話すべきか?悩まれると思います。その時は、相続の専門家(弁護士・司法書士など)に相談しましょう。きっと良いアドバイスを頂けると思います。

お話しが上手くまとまった後は、相続人全員が了承した証拠として遺産分割協議書を専門家に作成してもらえば安心です。

不動産の相続登記を司法書士に依頼した場合、戸籍収集・相続人の確定も代理で行ってくれます。もし、その時点で知らない相続人が見つかった場合は、そのままの流れで相談すると良いと思います。話合いのアドバイスやその後の手続きも任せることができます。

まとめ

遺産相続は、「故人の出生~死亡までの戸籍を調査する」ことからスタートします。それによって、正式な「法定相続人」が確定します。

そして場合によっては、会ったことも無い人が相続人として見つかる可能性もあります。ただし、会ったことが無い人であっても、正式な相続人である限り無視はできません。

ご自身(遺族)も驚くはずですし、相手も同じ様に驚くと思います。ここでは複雑な感情は除きますが、お互いにしっかりと話し合えば、きっと相続手続きもスムーズに進むと思います。

もし、どうしても上手く解決できない場合は、専門家(弁護士さん等)へのご相談が欠かせません。ご不安・疑問などがある場合は早めの対応がおすすめです。